綴る男、綴られる東京

インターネット広告と個人投資について

友人に聞いた「この時代に音楽で稼ぐ」ことの難しさと乗り越えるべき”壁”について

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https://www.gizmodo.jp/2018/04/nakata-yasutaka-interview-2018.html

(私の敬愛する中田ヤスタカ様です。ついこの間、彼の作曲環境がリニューアルされている映像を見て仰天しました。)

 

作曲できる人、結構いる説

さて、皆さま薄々お気付きの方も多いかと思うのですが、この世の中には「作曲ができてしまう人」は、この世の中に「思ったよりも結構」多くいらっしゃいます。僕の周りにも何人もいらっしゃいます。

自分はインストを作った挙句、自分で聴いてみて顔を真っ赤にして挫折した身なので、本当、一曲仕上げちゃう方々を心底尊敬しております。(リベンジしようかな)

 

さて、なんでみんな一曲仕上げられちゃうんでしょう。 

これは今更、私めがどうこう言うまでもなく、DTM(PCで曲が作れること)関連の驚くべき発達と、Vocaloid初音ミクとか)の登場によって人間ボーカルが必須でなくなったこと、またその事によって楽曲をネットに公開する事自体が一つの文化として受け入れられるようになったからでしょう。これはもはや自明ですよね。

 

Akai Professional USB MIDIキーボードコントローラー 8パッド MPK mini MK2

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PreSonus DTMセット AudioBox iTwo STUDIO

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 こんなものがあれば一通りの作業が自宅PCで完結しますね。本当、すごい時代です。

 

そんな彼らの収益源

ガンガン作曲活動を行っている友人に、「実際、楽曲を量産している人はどうやって稼いでいるの?」と質問すると、界隈の話をたくさん教えてくれました。

 

まずは「CD」

「え?CDの売り上げはメジャーシーンでしか望めないのでは?」とお思いでしょう。違うんです、彼らは、コミケなどの大きな物販会場から街のライブ会場・クラブハウスまで色々な場所に足を運んで、CDをリアル販売しています。もちろん、オンライン販売もありますけどね。

コアなファンがついてくると、販売情報をTwitterなどに発表する事で、CDを求めて足を運んでくれます。年間ウン百枚とか普通に捌いてる人もいます。すごすぎ…。

 

次に「ライブ」「物販」です。

これはよく聴く話ですよね。「CDが売れなくなったんで、ライブをいっぱいやって稼ぎま〜す」というやつです。メジャーで活躍しているアーティストもそういう方向にシフトしています。

インターネットを起点に活動している場合、リアルのコミュニティ作りや熱の伝播という意味でも、さらなる成長を望むのであれば、ある段階からは必須になってくる気がします。(後述します)

初期投資(会場代・グッズ製作費)がかかるので急にハードルが上がりますけどね…。

 

あとは、「楽曲のオンライン配信」「楽曲の権利提供」などが考えられます。

 

そんな彼らの課題

「ほうほう、曲さえ作れれば、結構儲かりそうだね」と感じられた方もいらっしゃるでしょう。が、そうであればこの記事は生まれてないんですよね…。現代では、楽曲制作による収益が、たいそう作りづらいのです。

インターネットのいたるところに楽曲が転がっている現在、「音楽は無料で聞ける」という恩恵をリスナーにもたらしましたが、それ以上に「音楽は無料で当たり前」「音楽は人生の主役ではなくBGM」という意識が社会に拡がった、という作曲者側から見たらとてもつらい状況を生み出しています。

 

しかも、それだけではありません。

 

かつての日本では、「ザ・ベストテン」「オリコン」「有線」「タワレコ」「ヒットチャート」といった社会共通のプラットフォームによって、日本全国津々浦々「全く同じ歌謡曲」が流行し、人々の間に受け入れられていました。「おっす、おい、昨日の沢田研二の服装見たかよ!」てな感じでしょうか(すみません、わかりません)。さながらドリフターズよろしく、日本の共通言語として音楽が機能していたものと思われます。ニッチな音楽ジャンルにしても、音楽雑誌なんかを通して共通の記号をリスナーが等しく消費していました。

 

こういった環境に関してもまた、皮肉にもインターネットによって緩やかに空中分解していきました。インターネットで各個人に閉じた趣味活動に全員が興じた結果、リスナーの趣向が島宇宙化し、リスナー同士の分断を招くことと相成ったのです。このことが原因で、今では「アーティスト側」からコミュニテイを積極的に形成していかなければ、楽曲を起点にした社会的なムーブメントを起こせない状況となっている。これが2010年代の音楽業界の現状です。

 

乗り越えるべき「壁」

ここまでくれば、読者の皆さまにおかれましても、もうお分かりでしょう。

今後、「音楽活動」を起点にして一定以上の収益を得るためには、「コアなファン層を自らの手によって形成する」ということが必須事項になってしまいました。

 

乗り越えるのに必要なのは、「ブランドイメージ」ではないでしょうか。「コアなファン層によって、(音楽をキーにして)自身のブランド、ストーリーを消費してもらえるような仕組みづくり」が必要になってきているのです。なんとなく、toCビジネスを行う企業のマーケティング活動においては語られている文脈と思われますが、音楽活動にもこれが求められるとは、なんとも楽じゃない時代になってしまいました。

 

というわけで、たんにyoutubeニコニコ動画で音楽を公開するだけでは、リスナーはインターネット砂漠から拾い取ってくれません(つらい)。

リアルイベントに来てもらい、ブランドグッズを買ってもらい、そうして出来上がったコミュニティのそばに楽曲群が寄り添っている。そんな(ローカルな)一体感のある世界が求められている気がします。

 

もう一つ、友人の話から学んだことは、収益チャネルの多様化が進んでいるということです。ここからは具体的な例になりますが、実は楽曲提供を行うためのプラットフォームが存在しています。

 

audiostock.jp

 

こちらです。

まだまだ成長余地を残したサービスであることには間違いないですが、楽曲が活躍する場を柔軟に広げていくための社会インフラは今後も増えていきそうですね。権利団体やビジネスを行う法人が管理するものではなくなってきているということです。

 

また、楽曲にも「新興市場」の概念が存在していまして、具体的に言えば「音ゲー」業界や「Vtuber」などの新興市場に対して、収益源を作りに行くことで差別化を図っている方々が実際にいらっしゃるようです。実際に個人で契約を行い、収益を得ている事例も伺っております。いやはや、すごい。

 

というわけで、僕が尊敬してやまない「作曲ができる方々」についてのお話でした。ご静聴ありがとうございました。次は実際に個人で活躍されている方の特集を具体例でご紹介できたらと思っています。

  

それでは!